奈良県立医科大学輸血部

ADAMTS13測定

院外医療機関用

ADAMTS13測定

ADAMTS13活性・インヒビター測定

ADAMTS13測定

奈良県立医科大学輸血部ではADAMTS13活性およびインヒビター測定依頼を全国から受け付けています。ADAMTS13活性測定検査は血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy : TMA) が疑われる患者さんにおいて不可欠な検査項目です。従来は古典的5徴候(血小板減少、溶血性貧血、腎障害、動揺性精神神経症状、発熱)を満たせば血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura : TTP)と臨床的に診断されていました。しかし、現在では国際的なコンセンサスとして原因不明の血小板減少および溶血性貧血を呈し、ADAMTS13活性が10%未満に著減していれば、TTPと診断します。さらにインヒビター(ADAMTS13阻害抗体)が陽性の場合は後天性TTPの確定診断に至ります。一方、2回以上の採血でインヒビターが陰性の場合は先天性TTPが疑われ、遺伝子解析を含めた詳細な検索が必要となります。

なお、当部では国内のTMAセンターとしてコホート研究を継続して行っております。検査のご依頼を頂いた残余検体や検査結果、ご依頼時にご提供いただいた臨床情報等は既存情報として扱われ、TMAの病態解明に関する研究に利用される場合があります。患者情報を研究に利用する場合は情報を匿名化し、個人の特定に至らないように配慮いたします。 本研究における参加拒否の機会はオプトアウト方式で提供しています。検体送付前にご依頼される医療機関において、検体やご提供される情報が研究に利用される可能性について必ずご説明頂くようにお願いします。ご説明の際には下記オプトアウト文書をご利用ください。また、当研究への参加を希望されない場合は検査をご依頼される医療機関より速やかに当部へご連絡ください。

<オプトアウト文書>
ADAMTS13 および von Willebrand 因子を中心とした血栓性微小血管症のコホート研究
遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(Upshaw-Schulman 症候群)のレジストリー研究
日本人の血栓性血小板減少性紫斑病患者における ADAMTS13 の Open/Close 構造解析および自己抗体の Epitope Mapping 解析研究
ADAMTS13 活性測定試薬の性能評価
日本における免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)の前向きレジストリ研究 —Japan iTTP Registry Study (JiTS)—

*検査費用は、当部研究費で賄っております。


依頼方法

1.「ADAMTS13検査依頼書(初回用)」をFAXで送信してください。
*臨床経過は診断のために不可欠ですので、必ず記載してください。
*検体保存の同意について患者さん本人にご確認いただき、検査依頼書にご記入ください。
*検体送付前に送付される検体やご提供される情報が研究に利用される可能性についてオプトアウト文書を用いて必ずご説明ください。
*研究への参加をご希望されない場合はご依頼元の医療機関より速やかに当部へご連絡ください。

ADAMTS13検査依頼書(初回用)(word)

<FAX送付先>
奈良県立医科大学輸血部 酒井 和哉
FAX : 0744-29-0771

2.FAX受取後、メールでご連絡いたします。

3.メールを受け取られましたら、検体を「ADAMTS13検査依頼書(初回用)」と共に、冷凍便でお送りください。
*検体採取方法は下記をご参照ください。

フォロー目的の場合は、FAXの送付は不要です。
「ADAMTS13検査依頼書(フォローアップ用)」をご記入の上、検体と共に冷凍便でお送りください。

ADAMTS13検査依頼書(フォローアップ用)(word)

<送付先>
〒634-8522 奈良県橿原市四条町840
奈良県立医科大学 輸血部 酒井 和哉
TEL : 0744-22-3051(内線3288)

*検査の依頼なく検体を送られた場合は、受け取りできませんのでご了承ください。
*平日の夜間、土日祝日は受け取りできませんので、必ず平日午前中着指定でお送りください。

 

検体採取・送付方法

ADAMTS13活性およびインヒビター測定検査ではクエン酸血漿を用いて測定を行っています。
クエン酸ナトリウムを抗凝固剤として静脈血採血を行い、遠心分離後に血球と血漿にそれぞれ分注してください。
検体は検査依頼書とともに冷凍便で午前中着指定でお送りください。

検体の準備方法

※日本検査血液学会「凝固検査検体取り扱いに関するコンセンサス」を参照してください。
(URL: https://www.jrcla.or.jp/origin/wp-content/uploads/2023/03/040204-1-1.pdf)

送付までの具体的な手順

1回の測定につき5ml程度のクエン酸血漿を送付ください。
※EDTA添加血漿では測定結果が偽陽性となり、TTPと誤診される可能性があります。
(ADAMTS13活性著減、インヒビター強陽性となります)

検体の具体的な準備方法は下記をご参照ください。

①採血ならびに採血管への分注
下記のいずれかの方法で採血を行います。
・2ml凝固試験管(クエン酸ナトリウム添加)で5本採血。
・15mlコニカルチューブに3.13-3.2%クエン酸ナトリウム溶液1mlを加え、全血9ml採血。
その後採血後血液とクエン酸ナトリウム溶液を速やかに5回程度泡立たないように転倒混和させます。

分注後の採血管
▲分注後の採血管(左:2ml凝固試験管(5本) 右:15mlコニカルチューブ)

②遠心分離
混和後、速やかに施設基準の回転数で遠心分離を行います。
(当研究室での遠心分離の条件は半径8㎝のアンクルローターで「3000回転/分、4℃、10分間」としています。)
※遠心分離せずに全血のまま凍結を行うと、解凍時に赤血球が溶血し、測定用の血漿を分離することができません。

遠心分離機
▲遠心分離機にコニカルチューブを入れた様子

遠心後の検体の様子
▲遠心後の検体の様子(左:2ml凝固試験管(5本) 右:15mlコニカルチューブ)

③血漿と血球の分注
血漿と血球をそれぞれ別のチューブに分注してください。患者識別のために、ID・採取日を記したラベルを必ずチューブに貼付してください。

チューブに分注
▲遠心分離後の検体から血漿(左)と血球(右)をそれぞれチューブに分注。

④検体の送付
冷凍した血漿と血球、検査依頼書等をドライアイスとともに保冷用の容器に入れて、冷凍便で午前中着指定でお送りください。
※検体取り違えなど事故防止のために所定の検査依頼書を記載の上必ず同封してください。
※冷蔵便(4℃)や通常便(常温)では血漿中のADAMTS13が失活する可能性があります。
※平日の17時以降および土日祝日は検体の受け取りができません。検体が解凍される危険がありますので、避けてください。

保冷用容器
▲保冷用容器の中に冷凍した血漿と血球、検査依頼書、ドライアイスを同封。