CPCの役割と業務
役割
CPC(Cell Processing Center)は細胞を加工する施設として平成25年に設立され、細胞培養加工施設として届出を行っています。当初は整形外科の骨再生を行ってきた経緯がありますが、現在は治験細胞治療を含む細胞治療の細胞調整・管理の拠点としての役割を果たしています。清浄度管理区域Class7の部屋(培養室2)で、Class5のクリーンベンチを用いて細胞調整を行っています。
CPCの部屋の紹介
業務
医薬品GMPに準じて院内血液細胞製剤の調整・管理を行っています。
① 造血幹細胞の細胞調整・保管・管理・・・末梢血幹細胞移植、臍帯血移植
◇ 末梢血幹細胞採取時の最適時検査
効率よく採取可能な日を、末梢血CD34 陽性細胞数を測定し、臨床科と検討し調整します。
◇ 末梢血幹細胞採取製剤の細胞調整と保管管理
採取された末梢血幹細胞をアルブミン・CP-1を混合し、-80℃で移植日まで保管します。
◇ 臍帯血の保管・CD34細胞数測定・生死細胞率測定
臍帯血を移植日まで最適温度(-150℃)で保管し、移植日に臍帯血のCD34陽性細胞数および生死細胞率を測定します。
② クリオプレシピテートの作成
◇ クリオプレシピテートとは
大量出血症例における凝固障害では、急性低フィブリノゲン血症を来し、出血傾向を呈します。フィブリノゲンは、フィブリン血栓形成における最終基質として重要な凝固因子です。
クリオプレシピテートは、献血から得られた新鮮凍結血漿を低温長時間解凍し遠心することにより得られ、フィブリノゲン・凝固因子を多く含みます。
よって、大量出血、大量輸血に伴う希釈性凝固障害や、病態に伴う消費性凝固障害による急性低フィブリノゲン血症の補正に用いられます。
◇ クリオプレシピテートの運用
現在当院では、A型・B型・AB型・O型の4種類のクリオプレシピテートを用意し、交通外傷、分娩後の大量出血患者さん・大量出血が考えられる手術に用いられています。
ゆっくり解凍 →
遠心 →
分離スタンドで分離 →
クリオ製剤と乏クリオ製剤(クリオプレシピテート)
③ 自己フィブリン糊の作成
◇ 自己フィブリン糊とは(自己生体組織接着剤)
フィブリン糊とは、フィブリノゲンにトロンビンを加えることで複数の凝固因子が反応し、直ちに糊状に固まる事を利用した組織接着製剤です。用途は、出血箇所の閉鎖、骨折片の固定、末梢神経や微小血管の吻合、腱接着や腱縫合の補強、臓器創傷部の接着などの外科的処置で、心臓(血管)外科、脳(神経)外科、整形外科、産婦人科、耳鼻科(口腔外科)などで使用されています。
◇ 自己フィブリン糊の運用
自己血採取可能な患者さんから作成しています。手術日のおよそ1週間前に作成しています。
自己血採血 →
遠心分離 →
成分分離 →
作成キットと無菌接合 →
機械にセットする →
フィブリン糊が析出 →
トロンビンとフィブリン糊→
それぞれをシリンジに分収
④ 赤血球製剤の分割
◇ 赤血球製剤分割の背景
日本赤十字社から供給される赤血球製剤の容量は、140mL(1単位)、280mL(2単位)と、小児患者さん(特に新生児)にとっては過剰になりがちです。当院では、使用後に余った血液製剤の廃棄およびドナー曝露数の軽減を目的として、院内で輸血用血液を安全に分割しています。
◇ 原則1単位製剤を4分割して供給しています。
分割後の有効期限は4日間として、病棟には使用時間、使用量が記入できる管理シートと共に払い出しています。使用後は直ちに返却願う形で運用して、有効期限後の使用が出来ないように管理しています。
⑤ 細胞治療製剤の調整
◇ テムセル®HS注の調整
テムセル®HS注は、指定再生医療製品であり健康成人骨髄液を原材料とし、同種造血幹細胞移植後のステロイド抵抗性の急性GVHD患者さん(GradeⅡ~Ⅳ)において高い有効性を示します。
SDDUより取出し →
素早く解凍 →
細胞調整 →
発泡スチロールにいれ出庫
⑥ 治験的治療の細胞調整
現在、当院では細胞を使った細胞治療の治験が進んでいます。輸血部では、細胞治療治験の細胞管理と細胞調整等を行っています。患者さんが安全に安心して治験を受けられるように、電子カルテでのオーダー管理をしています。